頭皮の皮脂は、外部刺激から頭皮を保護し、髪の潤いを保つ上で重要な役割を果たします。 しかし、この皮脂が過剰に分泌されると、かえって頭皮環境を悪化させ、強いかゆみや様々な トラブルの原因となります。一見すると乾燥とは逆の症状に見えますが、皮脂の過剰分泌もまた、頭皮の健康に とって望ましくない状態なのです。
頭皮には常在菌として「マラセチア菌」という真菌(カビの一種)が存在します。 通常、マラセチア菌は頭皮の健康を保つ上で問題となりませんが、皮脂が過剰に分泌されると、この菌にとって格好の 餌となり、異常に増殖してしまいます。マラセチア菌は皮脂を分解する際に「オレイン酸」などの 脂肪酸を生成し、これが頭皮への強い刺激となり、かゆみや赤み、炎症を引き起こします。 これが脂漏性皮膚炎の主な原因の一つと考えられています。
過剰な皮脂は、古い角質やホコリなどと混ざり合い、毛穴を詰まらせる原因にもなります。 毛穴が詰まると、酸素が行き届かなくなり、頭皮の代謝が悪化。さらに、アクネ菌などの他の雑菌が繁殖しやすい 環境を作り出し、ニキビや吹き出物といった炎症性のトラブルを引き起こすこともあります。 また、皮脂が酸化することで不快な**頭皮の臭い**の原因となることも少なくありません。
皮脂の過剰分泌を引き起こす要因は、一つだけでなく複数絡み合っていることが多いです。
皮脂の過剰分泌によるかゆみやトラブルを改善するには、これらの要因を見直し、頭皮環境を整えることが 重要です。適切なシャンプー選びと正しい洗髪方法、そしてバランスの取れた生活習慣を心がけましょう。