頭のかゆみ 徹底解決ガイド
1. 頭のかゆみの原因
頭のかゆみは、日常生活の習慣から皮膚の病気まで、多岐にわたる原因によって引き起こされます。
正確な原因を特定することが、適切な対策を講じるための第一歩となります。
頭がかゆいから皮膚科を受診したけど、異常なしと言われ途方に暮れている方も、このページをすべて読めば
問題解決の糸口がつかめるはずです。
乾燥
頭の乾燥は、皮脂の分泌量が少ない場合や、季節の変化(特に冬場の乾燥)、エアコンの使用、
洗浄力の強すぎるシャンプーの使用などによって引き起こされます。
乾燥した頭皮はバリア機能が低下し、外部刺激に弱くなるため、かゆみを感じやすくなります。
参考記事:
頭のかゆみの原因:乾燥について詳しく解説
皮脂の過剰分泌
一見矛盾するようですが、皮脂の過剰分泌もかゆみの原因となります。
過剰な皮脂は、マラセチア菌などの常在菌が繁殖しやすい環境を作り出し、これらの菌が代謝する際に生じる
物質(特にオレイン酸)が刺激となり、かゆみや炎症を引き起こすことがあります。
参考記事:
頭のかゆみの原因:皮脂の過剰分泌について詳しく解説
シャンプーやヘアケア製品の残留・合わない成分
シャンプーやリンス、コンディショナー、ヘアワックスなどの洗い残しは、毛穴を詰まらせ、
頭皮の常在菌のバランスを崩し、かゆみの原因となります。
また、製品に含まれる香料や着色料、界面活性剤などが肌に合わず、接触性皮膚炎
を引き起こすこともあります。
参考記事:
頭皮がかゆくならないシャンプーとはどんなシャンプー?
参考記事:
頭のかゆみの原因:シャンプーついて詳しく解説
アレルギー反応
特定の物質に対するアレルギーも頭のかゆみを引き起こします。
例えば、ヘアカラー剤に含まれるパラフェニレンジアミン(PPD)などは、
重度のアレルギー反応を引き起こす可能性があります。
その他、金属アレルギーや、特定の植物、食物によるアレルギーが頭皮に現れることもあります。
皮膚炎(湿疹)
- 脂漏性皮膚炎: 皮脂の過剰分泌が関係しており、フケやかゆみ、赤み、湿疹などが主な
症状です。頭だけでなく、顔や胸など皮脂腺の多い部位にも発生します。
マラセチア菌の増殖も関与していると考えられています。
- 接触性皮膚炎: 特定の物質が皮膚に触れることで炎症を起こすアレルギー性または
刺激性の皮膚炎です。シャンプーやヘアカラー、パーマ液などが原因となることが多いです。
- アトピー性皮膚炎: 遺伝的要因や体質が関係する慢性的な皮膚炎で、
頭皮にも症状が現れることがあります。強いかゆみと湿疹が特徴です。
頭シラミ
特に小さなお子さんの間で流行することがありますが、大人にも感染する可能性があります。
頭皮を吸血することで強いかゆみを引き起こします。肉眼でシラミ本体や卵(「しらみっ子」と呼ばれる)を
確認できることもあります。
ストレス
ストレスは自律神経のバランスを乱し、免疫機能の低下や血行不良を引き起こすことがあります。 これにより、頭皮のバリア機能が低下したり、既存の皮膚疾患が悪化したりして、
かゆみを感じやすくなることがあります。
紫外線
頭皮も顔や体と同じく紫外線によるダメージを受けます。
紫外線は頭皮を乾燥させ、炎症を引き起こし、かゆみの原因となることがあります。
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2. 頭のかゆみの症状
頭のかゆみは単独で現れることもありますが、他の様々な症状と併発することが一般的です。これらの症状を把握することで、原因の特定や適切な対処法を見つける手助けになります。
フケ
- 乾燥性のフケ: 細かくサラサラしており、肩に落ちやすいのが特徴です。
頭皮の乾燥が原因で、新陳代謝が早まり、未熟な角質が剥がれ落ちることで発生します。
- 脂性のフケ: べたつきがあり、大きな塊になりやすく、頭皮に張り付くことが多いです。
皮脂の過剰分泌やマラセチア菌の増殖が原因で、炎症を伴うこともあります。
赤み・炎症
かゆみを伴って頭皮に赤みが生じている場合、炎症が起きているサインです。
これは、脂漏性皮膚炎、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎など、様々な皮膚炎の症状として現れます。
かきむしることでさらに炎症が悪化することもあります。
湿疹(ぶつぶつ)
頭皮に小さなぶつぶつや湿疹が見られる場合、これも炎症の兆候です。
かゆみを伴い、触るとザラザラしたり、痛みを感じたりすることもあります。
毛穴の炎症や、アレルギー反応などが考えられます。
痛み・ヒリヒリ感
かゆみがひどく、かきむしってしまうことで頭皮に傷がつき、痛みやヒリヒリ感が生じることがあります。
また、特定の皮膚疾患や感染症が原因で、かゆみとは異なる種類の痛みを感じることもあります。
抜け毛
頭皮の炎症やダメージが続くと、毛根に悪影響を与え、抜け毛が増えることがあります。
特に、脂漏性皮膚炎が重症化すると、脱毛につながることもあります。
かゆみが原因で頭皮を強く掻き続けることでも、物理的に髪が抜け落ちることがあります。
ただれ・かさぶた
強いかゆみで頭皮を掻き続けると、皮膚が傷つき、ただれたり、出血したりして、かさぶたができることが
あります。かさぶたの下で細菌が繁殖し、さらに症状が悪化する悪循環に陥ることもあります。
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3. 原因別対策
頭のかゆみの原因が特定できれば、より効果的な対策を講じることができます。以下に主な原因別の対策を示します。
乾燥が原因の場合
- 保湿重視のシャンプーを選ぶ: アミノ酸系洗浄成分など、マイルドな
洗浄力で保湿成分が配合されたシャンプーに切り替えましょう。
- 頭皮用保湿剤の使用: 頭皮用のローションや化粧水などで直接保湿をします。
入浴後など、頭皮が清潔な状態の時に使用するのが効果的です。
- 過度な洗髪を避ける: 1日に何度もシャンプーしたり、熱すぎるお湯で洗ったり
することは避け、必要な皮脂まで洗い流さないようにしましょう。
- 加湿器の使用: 室内の乾燥を防ぐために加湿器を使用することも有効です。
皮脂の過剰分泌が原因の場合
- 洗浄力の適切なシャンプーを選ぶ: 脂性肌向けのシャンプーで、余分な皮脂を
しっかりと洗い流しつつ、必要な潤いは残すバランスの良いものを選びましょう。
- 正しいシャンプー方法: 爪を立てずに指の腹で優しくマッサージするように洗い、
すすぎ残しがないようにしっかりと洗い流します。
- 食生活の見直し: 脂っこい食事や糖分の摂りすぎは皮脂の分泌を促すことがあります。
バランスの取れた食生活を心がけましょう。ビタミンB群は皮脂のコントロールに役立つとされています。
- 生活習慣の改善: 十分な睡眠、ストレスの軽減なども皮脂バランスの調整に
繋がります。
シャンプーやヘアケア製品が原因の場合
- 製品の見直し・変更: 使用しているシャンプー、リンス、コンディショナー、
スタイリング剤などを、敏感肌用や無添加のものに切り替えてみましょう。
パッチテストをしてみるのも良いでしょう。
- 徹底したすすぎ: シャンプーやリンスが頭皮に残らないよう、普段よりもしっかりと
時間をかけてすすぎましょう。
- 成分表示の確認: 過去にアレルギー反応を起こしたことのある成分が含まれていないか
、製品の成分表示をよく確認しましょう。
アレルギー反応が原因の場合
- 原因物質の特定と避ける: パッチテストなどを通じてアレルギーの原因物質を特定し、
その物質が含まれる製品の使用を避けます。
- 皮膚科受診: 自己判断せず、皮膚科を受診して適切な診断と治療を受けましょう。
抗ヒスタミン剤やかゆみ止めが処方されることがあります。
皮膚炎が原因の場合
- 皮膚科受診: 脂漏性皮膚炎、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎などの皮膚炎が
疑われる場合は、必ず皮膚科を受診してください。自己判断で市販薬を使用すると悪化することもあります。
- 医師の指示に従う: 処方された外用薬(ステロイド剤など)や内服薬を正しく使用し、
医師の指示に従って治療を進めましょう。
- 刺激を避ける: 患部を掻かないように注意し、刺激の少ないシャンプーやヘアケア製品を
選びましょう。
頭シラミが原因の場合
- 専用シャンプーの使用: シラミ駆除効果のある専用のシャンプー(薬用シャンプー)を
使用します。
- 目の細かいクシでの除去: 専用のクシで卵やシラミ本体を物理的に取り除きます。
- 家族や周囲への注意喚起: 感染の拡大を防ぐため、家族や学校、幼稚園など、周囲に
感染者がいないか確認し、情報共有を行いましょう。
- 寝具などの洗濯・乾燥: 寝具やタオル、帽子などは高温で洗濯・乾燥させるか、
一定期間密閉して保管することで、シラミを死滅させることができます。
ストレスが原因の場合
- ストレスマネジメント: 適度な運動、趣味、瞑想、十分な睡眠など、自分に合った方法で
ストレスを解消しましょう。
- リラックスできる環境作り: 入浴やアロマテラピーなど、心身をリラックスさせる時間を
作りましょう。
- 専門家への相談: ストレスが深刻な場合は、心療内科やカウンセリングの専門家へ
の相談も検討しましょう。
紫外線が原因の場合
- 帽子や日傘の活用: 日差しが強い時間帯の外出時には、帽子や日傘で頭皮を
保護しましょう。
- UVカットスプレーの使用: 頭皮用のUVカットスプレーなども有効です。
- 保湿ケア: 紫外線によるダメージを受けた頭皮は乾燥しやすいため、しっかりと
保湿ケアを行いましょう。
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4. 症状別対策
原因がはっきりとわからない場合でも、現れている症状に合わせて一時的にかゆみを和らげたり、悪化を
防いだりする対策を講じることができます。
ただし、症状が改善しない場合は専門医の受診を強くお勧めします。
強いかゆみがある場合
- 冷やす: 冷たいタオルを頭に当てたり、冷風ドライヤーで一時的に冷やしたりする
ことで、かゆみが和らぐことがあります。
- かきむしらない: 掻いてしまうと、さらに炎症が悪化したり、傷になったりして、
症状が長引く原因になります。意識的に掻かないように注意しましょう。
- 市販のかゆみ止め: 抗ヒスタミン成分などが配合された頭皮用のかゆみ止めローションや
スプレーを使用するのも一時的な対処法として有効です。
ただし、薬剤師に相談の上、用法・用量を守って使用してください。
- 入浴時の注意: 熱すぎるお湯はかゆみを増幅させることがあります。
ぬるめのお湯で短時間の入浴を心がけましょう。
フケが気になる場合
- フケの種類に合わせたシャンプー: 乾燥性フケには保湿成分配合のアミノ酸シャンプー、
脂性フケには石鹸シャンプーがおすすめです。抗真菌成分(ミコナゾール硝酸塩、ピロクトンオラミンなど)が
配合された薬用シャンプーは医師に相談の上ご使用ください。
- シャンプーの正しい使い方: 髪を洗う前にブラッシングで汚れを浮かせ、しっかりと
泡立てて指の腹で優しく洗い、十分にすすぎます。
- 頭皮マッサージ: 血行促進のため、頭皮を優しくマッサージすることも効果的です。
赤み・炎症・湿疹がある場合
注意: 赤みや炎症、湿疹が見られる場合は、皮膚疾患の可能性が高いです。
自己判断せずに、速やかに皮膚科を受診してください。特に、市販薬で一時的に改善しても再発を
繰り返す場合は、根本的な治療が必要です。
- 刺激を避ける: 刺激の強いシャンプーやヘアケア製品の使用を中止し、敏感肌用のものに
切り替えましょう。
- 清潔を保つ: 頭皮を清潔に保つことは重要ですが、ゴシゴシ洗いすぎないように注意し、
優しく洗ってください。
- 髪を乾かす: 洗髪後は、雑菌の繁殖を防ぐため、ドライヤーで根元からしっかりと
乾かしましょう。ただし、熱風を当てすぎないように注意し、冷風も活用しましょう。
抜け毛が増えた場合
注意: かゆみと同時に抜け毛が増えている場合は、頭皮環境が深刻な
ダメージを受けている可能性があります。脱毛症の専門医や皮膚科医に相談し、適切な診断と治療を
受けることが重要です。
- 頭皮環境の改善: 上記の「原因別対策」を参考に、頭皮環境を健康に保つためのケアを
徹底します。
- 血行促進: 頭皮マッサージや、バランスの取れた食生活
(ビタミン、ミネラル、タンパク質など)で血行を促進しましょう。
- 生活習慣の見直し: 睡眠不足やストレス、喫煙などは抜け毛を悪化させる要因と
なります。規則正しい生活を心がけましょう。
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5. かゆみとシャンプーの成分
頭のかゆみ対策として、シャンプー選びは非常に重要です。ここでは、かゆみ対策に役立つ、または
注意すべきシャンプー成分について解説します。
洗浄成分の種類と特徴
シャンプーの洗浄力の強さや頭皮への優しさは、主に洗浄成分(界面活性剤)の種類によって決まります。
- 高級アルコール系: ラウレス硫酸Na、ラウリル硫酸Naなど。「サルフェート系」とも
呼ばれます。洗浄力が非常に強く、泡立ちが良いですが、頭皮に必要な皮脂まで洗い流してしまい、乾燥や
かゆみを引き起こすことがあります。敏感肌の方には不向きです。
- 石鹸系: 固形石鹸(脂肪酸ナトリウム)は洗浄力が強めです。頭皮への刺激を
感じる人もいます。液体石鹸(脂肪酸Kカリウム)洗浄力は固形に比べて弱めですので、
お肌が弱い方にもおすすめです。固形も液体も弱アルカリ性ですので髪がきしみやすい傾向があります。
- アミノ酸系: ラウロイルメチルアラニンNa,ココイルグルタミン酸TEA、
ココイルメチルアラニンNaなど。「ココイル?」「ラウロイル?」といった名称が特徴。洗浄力がマイルドで、
頭皮や髪に優しく、保湿力も期待できます。乾燥によるかゆみに悩む方や敏感肌の方におすすめです。
頭のかゆみがある場合は、アミノ酸系や石鹸系の洗浄成分を主成分とする
シャンプーを選ぶのがおすすめです。
かゆみ対策に有効な成分
- 抗炎症成分:
- グリチルリチン酸2K(ジカリウム): 甘草由来の成分で、高い抗炎症作用が
あります。頭皮の赤みや炎症を鎮める効果が期待できます。
多くの薬用シャンプーに配合されています。
- アラントイン: 細胞の増殖を促進し、組織を修復する作用があります。
肌荒れや炎症を抑える効果が期待できます。
- 保湿成分:
- グリセリン: 高い保水力で頭皮に潤いを与えます。アトピーの方にも処方される
成分。一番安心して使用できます。
- セラミド: 頭皮のバリア機能を高め、水分保持能力を向上させます。
乾燥によるかゆみに有効です。
- ヒアルロン酸: 高い保水力で頭皮に潤いを与えます。
- コラーゲン: 頭皮の弾力性を保ち、潤いを与えます。
- 植物エキス(ビワの葉エキス、アロエベラエキス、カミツレエキスなど):
肌を落ち着かせ、潤いを与える効果が期待できます。
注意すべき成分
- コカミドプロピルベタイン: ベビーシャンプーにも使用される洗浄剤ですが、
接触性皮膚炎を起こす方が一定数おられ、お肌の弱い方は避けた方がよい成分です。
- 抗真菌成分(フケ・かゆみ抑制):
- ミコナゾール硝酸塩: マラセチア菌などの真菌の増殖を抑える効果があります。
しかし、刺激を感じやすい人は、がかゆみの原因になる時があります。
- ピロクトンオラミン: 広範囲の菌に作用し、フケやかゆみの原因菌の増殖を
抑える効果があります。かゆみの原因になる時があります。
- サリチル酸: 角質を軟化させ、フケの剥がれ落ちを助けるとともに、殺菌作用も
持ちます。同じく、かゆみの原因になる時があります。
- 香料・着色料: アレルギー反応や刺激を引き起こす可能性があります。敏感肌の方は、
無香料・無着色の製品を選ぶのが望ましいです。
- 防腐剤(パラベンなど): 人によってはアレルギー反応を起こすことがあります。
刺激を感じやすい方は、パラベン系、イソチアゾリノン系フリーなどの製品を選ぶことを検討しましょう。
ご自身の頭皮の状態や体質に合わせて、これらの成分を参考にシャンプーを選んでみてください。迷った場合は、皮膚科医や薬剤師に相談することをおすすめします。