頭皮のただれ・かさぶた:かゆみと掻き壊しが招く重症化のサイン
頭皮のかゆみが進行し、掻きむしる行為がエスカレートすると、皮膚に目に見える損傷が現れます。
それが「ただれ」や「かさぶた」です。これらの症状は、頭皮がすでに
深刻なダメージを受けていることを示すサインであり、単なるかゆみから一歩進んだ、より注意が必要な状態と
言えます。放置すると、さらなる感染や頭皮環境の悪化を招く可能性があります。
ただれ・かさぶたができるメカニズム
ただれやかさぶたは、主に以下のプロセスで発生します。
- 掻き壊しによる皮膚の損傷: 強いかゆみに耐えられず、頭皮を掻きむしってしまうと、
爪によって皮膚の表面(表皮)が剥がれたり、真皮まで傷つけられたりします。この損傷した状態が
「ただれ」です。皮膚のバリア機能が失われ、ジクジクと滲出液が出てくることもあります。
- 浸出液の乾燥と血液の凝固: ただれた部分から滲み出た組織液や、掻き傷からの血液が
空気に触れて乾燥すると、それが固まって「かさぶた」を形成します。かさぶたは、皮膚が傷を治そうとする
過程でできるものであり、その下で新しい皮膚が作られています。
- 細菌感染の併発: 皮膚がただれてバリア機能が破壊されると、常在菌や外部からの
細菌が容易に侵入し、感染症を引き起こすリスクが高まります。細菌感染が起きると、ただれや炎症が悪化し、
黄色い膿を持つかさぶたができたり、さらに強い痛みやかゆみを伴ったりする悪循環に陥ることがあります。
特に、黄色ブドウ球菌などが原因となる「とびひ(伝染性膿痂疹)」に発展することもあります。
ただれ・かさぶたを伴うかゆみへの対処法
頭皮にただれやかさぶたが見られる場合、既に皮膚の状態がかなり悪化しているため、
自己判断せずに皮膚科を早急に受診することが最も重要です。専門医による適切な診断と
治療が必要です。
- 皮膚科での診断と治療: 医師の診察を受け、炎症や感染の有無を確認して
もらいましょう。抗菌作用や抗炎症作用のある外用薬(軟膏など)や、必要に応じて内服薬が処方されます。
医師の指示に従い、正しく使用することが非常に大切です。
- 掻かない努力の徹底: かゆみがあっても、絶対に掻きむしらないでください。
掻くことで症状が悪化し、治癒が遅れます。冷たいタオルで優しく冷やす、医師に相談してかゆみ止めを
処方してもらうなどの対処を考えましょう。
- 清潔と保護: 患部を清潔に保ちつつ、刺激を与えないように保護することが重要です。
- 優しい洗髪: 低刺激性のシャンプーを使い、ぬるま湯で、指の腹で泡を
優しく押し当てるように洗いましょう。ただれた部分は特に注意が必要です。
- 丁寧なすすぎ: シャンプーやリンスの成分が残らないよう、念入りに
すすぎます。
- 清潔なタオルで: 洗髪後は、清潔な柔らかいタオルで水分を優しく吸い取り、
ドライヤーの熱風は避けましょう。
- 生活習慣の見直し: 免疫力の維持のため、十分な睡眠、バランスの取れた食事、
ストレスの軽減を心がけましょう。
頭皮のただれやかさぶたは、皮膚からの明確なSOS信号です。適切な治療とセルフケアで、健やかな頭皮
を取り戻しましょう。
参考記事:
【決定版】頭のかゆみ対策:原因・症状・シャンプー成分を徹底解説